台風が去ってから京都もすっかり冷え込み、ようやく秋が来ました。
 友人たちから「ゲームデザインの話しろよ」としつこくいわれたので、今回はゲームデザイン考察についての話をしたいと思います。テーマはアドベンチャーゲームの画面構成についてです。ゲームデザインの話といっても、実はゲーム以外にも応用できる情報なので、ゲーム開発に興味がないという方にも無駄ではない話かと思います

 こんな記事を書くことになった経緯ですが、実は今朝から、衝動的にある作品をやりたいなあと思いましてプレイしていました。「果てしなく青い、この空の下で・・・。」(以下、「果青」と表記する)です。
 2000年6月、「ジブリでH」をコンセプトのもと、TOPCATが発売したアドベンチャーゲームです。ジャパニーズホラーとビルドゥングスロマンを精緻に織り込んだシナリオとその雰囲気、そしてたかみち氏によるイラストレーションから高い評価を得ていました。「ジブリでH」なんていっておきながら、クトゥルー神話が背景設定として存在していることから、クトゥルーファンにとっては関連作品の一つとしても有名だったりも。
 筆者にとっては青春の思い出…。ついふとやりたくなったので押入れから取り出してプレイを初めてしまいました。
 なお、本作及び後述する「アトリの空と真鍮の月」(以下「アトリ」と表記する)はいずれもアダルトゲームです。当記事のAmazonリンク先を踏む場合や、作品タイトルを検索する場合はご注意ください





 話を戻しますが、筆者が青春の思い出のアダルトゲームをプレイしたなんて話題は誰得かと思います。今回の話の味噌もそこではありませんしね。
 今回考えるべきは、アドベンチャーゲーム及びアドベンチャーゲーム風の画面構成を考えるという話題です。
 以下の画像をご覧ください。

画像

 上側二枚は果青のゲーム画面で、下側は同ブランドから発売された果青の続編、「アトリの空と真鍮の月」のゲーム画面となっています。
 果青の画面構成の方がみやすい、と思いませんか?

 少なくとも筆者はそう受け止めています。非常に読みづらい。そのせいでゲームに集中できない。
 果青はスイスイとすすんだのに、アトリはたったいましがたインストールしたのにどうにもやる気になれない。プレイする気がなくなったおかげで、こんな記事を書き始めてしまっている。そんな状態です。
 では、なぜそう思うのか。それを考えなければなりません。
 せっかく画像まで用意したので、せっかくですし画面構成とその内部のデザインをそれぞれ比較してみてみましょう。

 まずは果青。
 テキスト枠がかなり大きくつくられています。そのため、一度に表示される文字量はアトリに比べて圧倒的に多いです。また文字自体を見てみるとかなりカラフルに見えますくっきりと強い色で、発声者毎に色を分けている他、主人公の思考に相当する地の文にも異なる配色がなされていますフォントも比較的大きく、綺麗ではありませんがくっきりと見えます
 また、枠が幅をとっていることからヒロインが一人までしか表示されていません画面の中に出てくるキャラクターは常に一人ですキャラクター同士が会話していたとしても、喋っている者単体しか視覚化されません背景についても半分以上が枠で隠れてしまうのでもったいないですね。特に右上の海の背景はせっかくの海がみえなくなっています

 対して、アトリ。
 テキスト枠は果青に比べて小さいですね。文字量は比較的抑えめ一瞬で読めるテキストとなっています文字自体を見てみると、果青同様、色付けがされてはいます。ただ、かなり繊細な色付けのようで、判別に少し戸惑いますフォントは線が細く綺麗ですが色づけと混じって誰の言葉か判断が見づらいですね。また、発生者の名前の表記に記号がついているのですが、どうもそっち目がいってしまいがちです。
 キャラクター表示については、会話枠が狭い分、キャラクターが並んで表示できます。このため、掛け合いがかなり視覚化されていますね。 背景についても広くみえるおかげで、どこにいるのかが読み取りやすいです。テキスト以外の情報からその場に誰がいるのか分かりやすく伝わってきます

  これらの比較をまとめると、以下の傾向がみえてきます。

・一目瞭然の文字の色付けがないと会話が読みづらい
・繊細なフォントは綺麗であるが色付けの観点から使いづらい
・ 文字以上に画で状況(文脈)を把握しやすい


 アトリについて読みづらさを感じた理由は大きくいってしまえば、フォントが読みづらい、色分けがひと目で読み取れないため会話の動きが把握しづらいからだという話です。筆者が「読みづらい」といった理由はこれに起因しています。別にシナリオがいけないとか、イラストがたかみちじゃないからイヤだとか、そういうところとは違う部分でゲームに集中できなくなっているのです。
 これは、換言すれば、アドベンチャーゲームにおける遊びやすさに関わってきます。ゲームの本質がプレイヤーを釘付けにする動きにあると考えるのであれば、より没入しやすく、自然と画面の中にあるものに注目していけるようにデザインすることが求められていると考えられるでしょう。
 「アドベンチャーゲームなんてすごいシナリオと上手い絵があればなんでも売れるし神作品になるんだよ!」と思っている方もいるかもしれませんが、実は画面のシステム周りひとつとっても製作者の意図が見え隠れしているようになっています。
 この話は、アドベンチャーゲームでも、ニコニコ動画等のアドベンチャー風動画でも同じことが当てはまるでしょう。読みやすさを考えるというのもゲーム的思考なのですね。 
 
 最後にこの記事では、+評価といえる部分の情報を青文字、-評価といえる部分の情報を赤文字としていれました。筆者なりの評価によって+か-かを判断している部分があるので、その分け方の正統性については意見もあるかもしれません。
 ですが、そのどういう意図で青と赤の色分けがなされていたのか、特に明記はしませんでした。それにも関わらず、「プラス評価とマイナス評価を分けているんだな」と自然に読み取れたという方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか
 だとしたら、 この記事の中で論じた話は少なからず妥当だったということの裏打ちではないでしょうか。