九頭竜堂

サークル「九頭竜堂」のBlogです。 主に仲間内で遊んだTPRG(クトゥルフ・シノビガミ・サタスペ等)の話題や、ニコニコ動画でのリプレイ動画投稿、フリーシナリオの公開情報やコミックマーケットでの頒布物の情報をお知らせしています。

カテゴリ: サークルメンバー

 どうも、お久しぶりです。@Dra_Hono_Sです。

 ありがたいことにまもりお姉様からまた、お声をかけていただき執筆しております。
 今回は僕がひふみいろは氏(主宰)と生姜維新氏(先輩ライター)にシナリオの書き方について質問している所を対談形式で...との依頼でした。正直2度目のチャンスをいただけるなんて思っていなかったので、案の定発狂しました。
 ということで今回もOrder通り、はりきって、早速本編に行きたいと思います。

 それでは

登場人物の紹介

どら(@Dra_Hono_S):
 このシリーズを担当する新人ライター。面白い作品を作るために技を吸収中。

ひふみいろは(@1i2ro3ha):
 優しさを具現化系のオーラで作り出すとこんな感じなサークル主宰兼シナリオライター(以下、いろは)

生姜維新(@Pueraria_ginger):
 お兄さんです。完全にお兄さんです。こんなお兄さんが近所にいたなら、と思える先輩シナリオライター(以下、生姜)

準備・挨拶

いろは「今日は誰が話の主導をきってくれるの? 進行役は誰なの?」

生姜「進行役ですか? じゃぁ僕がやりましょうか!」

いろは「おぉ! じゃぁ生姜君進行役な」

と進行役が決まり。

どら「緊張します...」

いろは「でもメインに話を進めていくのはどら君なんですよ(にっこ)」

とさらに緊張を上乗せされましたが、優しい言葉をかけていただき緊張もほぐれ、質問内容を伝え対談開始です。
この質問内容を伝える時間も面白い会話が飛び交いました。

Q1:シナリオを描くまでの準備は何をしている?

生姜「それでは、まずはいろはさんから、お願いします」

いろは「あぁ、まず僕がAをだすのもいいんだけど、なんでそういう質問をするに至ったかが知りたいかな」

どら「はい、今までシナリオを描くときに何も準備してないことが多々あったので、なにか準備しておいた方が良いものがあるのかと思って質問しました」

いろは「なるほど、そういう経緯だったんだな~。まぁ僕の場合は、どら君からしたら肩透かしな答えになるかもしれないんだけど、『ひたすら考えてる』これだね」

どら「例えばどんなことを考えていますか?」

いろは「『どんなシナリオを書くか』にあたって人を観察したりして、日常生活の中でどんな価値観があるのだとかだね」

どら「なるほど、詳しい例を教えてもらってもいいですか?」

いろは「そうだね、例えば消費者が『バブみって言葉を使っていたら、今は『癒し』を求めてるんだな、とかを見てみたりして、シナリオを書くときそんなところから始めていきますね」

どら「なるほど」

いろは「僕は基本的に誰かの価値観、いわゆる需要があったとして、それに対する供給を返すタイプで作っていきたいと思ってるんですよ。だから、普段から皆(消費者)の需要、渇きは何だってのを観察しながら考え事してるってのが書く前にやってることですね」

どら「例えばどんなところで観察したりしていますか?」

いろは「そうだね、書店とかかな。最近だと『異世界転生』系とか推してるの見ると、売りたいし需要がある、もしくは需要が生産できると思ってやってるんだなとか見たりするね」

どら「なるほど、詳しく答えていただきありがとうございます」

いろは「うん、まぁ要約すると『アンテナを広げる事』これが大事だね」

どら「なるほど、ありがとうございました。次は生姜さん、お願いしてもいいでしょうか?」

生姜「はい、わかりました。私の方も『考える』ですね。そうしないと、何を書いていいかわからなくなるので、まず、考えるということをしていますね。例えば、先ほど需要を調べると言われてたんですけど、それに対する供給を見てそれに対するカウンター、、、その何か一歩、何か別の要素を組み足して独自性を出していくっていうのをいつも考えていますね」

いろは「そのカウンターっていうのは、例えば他の人が『雪山遭難』のシナリオ出してたとして、それに対する新しいギミックだとか、ドラマとかを考えて、それに対するカウンターとして出すってことでいいのかな?」

生姜「そうですね、そのカウンターを考える手段として『TRPGの他システム』からルールを持ってきたりしていますね」

どら「なるほど、例えばどんな形で持ってきたりしていますか?」

生姜「そうだね、他システムの戦闘ルールとかはクトゥルフだと参考にしにくいから、シナリオを円滑に進めるために作られた他システムのルールはクトゥルフにも持ち込めるなと思ってますね」
いろは「クトゥルフは戦闘メインのゲームじゃないもんね。円滑に進めるってのは『サタスペ』で言うと『情報の開示ルール』とかかな?」

生姜「そうですね」

いろは「でも、ここまでの話って大体書くのに慣れてきた位の話だと思うわけよ」

どら・生姜「確かに」

いろは「だとすると、ホントに僕たちがどら君ぐらいの時にしてたことって何だろうなって振り返ると、『自分の好きなコンテンツをTRPGで作ろう』ってことをしてた」

どら「あぁ~!!!」

生姜「うん、そうですね~! あ、あとその段階の話だとサンプルシナリオを見て、ここは良いとか、ここは良くないとかってのを探して、良くないと思ったところを自分なりに変えていくとかしてましたね。ってのでやっぱり他のシナリオを読むのは大事ですね」

『デモンベイン』『ペルソナ4』をTRPGにすることだけを考えてたいろはさんのお話だったり、SAOでTRPGにしようと頑張ってた時期のある私の話をしたりと、この話が思いのほか広がって、これが活字だらけのお話に、、、。。

Q2:シナリオを作る時に実際の事件等を使う???

どら「実際の事件だとかを用いたりしますか???」

いろは「生姜君、答えてあげなよw」

生姜「そうですね、まぁ実際に使ってるんですけど! 世代の外れたのを使った方がいいと思うな!」

どら「遺族の方とか、そっちの道の事件とか取り扱うとあれですもんね」

いろは「つまり不謹慎と?」

どら「僕はそう思いますね~」

いろは「生姜君もそれを踏まえて世代をずらした方がいいって言ってたのかな?」

生姜「う~ん、まぁでもヤクザモノをするとなったらそうもいかないですし、するなら固有名称をぼかすとかしますかね」

いろはノンフィクションっぽくしなきゃいいんだと思う

どら「ほぉ、、、」

いろは「そう、丁度僕の例に対する答えになるんだけど、僕も結構実在の事件使うんですよ」

どら「はい」

いろは「でも実際の事件そのものを使うと陳腐になるんですよ。だってみんな知ってるじゃん? 怒られるかもしれないけど実際に起きた事件持ってくるの簡単だし、ノンフィクションであったことだから起こるんだよ、でもそれって僕からしたら楽しいと思わないんですよ。なんで実際に起きたことを創作にぶつけるんだって。創作って嘘があってしかりだと思うんですよ。だから現実の事件をそのまま持ってきてほしくないなってのがある。だからそのまま抜き出したりはしない。生姜君とは別の意味でぼかしたりして使うかな

生姜「まぁ、私もクトゥルフ神話絡めてるんで、多かれ少なかれすることだと思うんですよね」

シナリオを書く上で意識していかないといけないことがたくさん出てきて、今後シナリオを書くのが楽しみになりました。

Q3:シナリオコンセプトを決めるタイミングは?

どら「シナリオコンセプトを決めるタイミングはいつですか?」

いろは「これもさっきと同様に何で質問しようと思ったか教えてもらえる?」

どら「はい、まずコンセプトに何を書けばいいのか、何を書くのが適切かわからないという体験をして、シナリオコンセプトを決めるタイミング、シナリオコンセプトの書き方を知りたいと思ったからです」

いろは「ほぉ~なるほど。ぶっちゃけどうなの? 生姜君」

生姜「ぶっちゃけ、私シナリオコンセプト考え始めたのが遅くて。昔やってた時はそんなこと考えてなかったんですよ」

いろは「今はどうなの?」

生姜「そうですねぇ、今は逆にコンセプト考えすぎてシナリオがなんか難解になってる」

いろは「君は結構欲かきだよね。書き手としては」

生姜「欲かきですよ。『灰色の少女たち』※1も自分の哲学を書いたせいで、もう全然伝わらなかったり」

いろは「哲学書なんだねww」

一同「wwww」


※1『灰色の少女たち』(収録:九頭竜堂CoCシナリオ集第六章-花ノ書-
灰色の少女たちサンプル
「百合」をテーマにした、お嬢様学校の生徒である探索者たち(女性限定)が学園に起こる怪奇事件を調査するシナリオ。
白百合=正気と黒百合=狂気の狭間で揺れる少女たちが描かれており、「正気や危険を避ける事に固執していても、狂気に陥ってしまっても問題は解決しない」という『クトゥルフ神話TRPG』らしい要素をコンセプトに書かれている。
社会もグレーゾーンが多くて万事そんな感じですよね。


いろは「どんな風に決めてるの? その辺りも、どら君気になってるだろうから教えてよw」

生姜「えっと、九頭竜堂に関して言えば『テーマ』『キーワード』が提示されるので、『キーワード』にあう神格を探したり使えそうなシナリオのジャンルを探していってそのジャンルで表現できるコンセプトを後付けで考えるんですよ、僕は。多分他の人は先にコンセプト考えるんでしょうけど」

いろは「実はコンセプトが後から出てくるって作り方なんだろうな」

生姜「そうですね。後付けで屁理屈をこねてるみたいな感じなんですけど」

いろは「でもほとんど、0から1になる瞬間にコンセプトになってる気はしないけどね。何かしたいことがあったうえでコンセプトになることはあったりするんで」

生姜「そうですね、『ユキユキテ』※2とかそうですしね」

いろは「『ユキユキテ』は『雪山で遭難させたい』ってところから始まったんだっけ?」

生姜「そもそものテーマが『雪』で『雪山で遭難させたい』で僕は止まってたんですけど、そこから(制作秘話)で(制作秘話)によってできてるんだよ」

いろは「つまり雪山遭難は人災によって拡大してるってのを出したかったんだよな? それがコンセプトだったんだろうね~」

生姜「そうですね~」


※2『ユキユキテ』(収録:九頭竜堂CoCシナリオ集第五章-雪ノ書-
ユキユキテ宣伝絵
「極限状態の狂気」をテーマにした、東北の雪山で遭難するシナリオ。
雰囲気をギスギスさせていく癖の強いNPCたちにどう対処するのかがカギとなる。
極限状態で「こいつを生かしておくよりも、殺して衣服を剥ぎ取った方が暖が取れるのでは」みたいな思考が脳を過る感覚を楽しんでください。
参考にした人災はこういう人災じゃなくて命令系統と油断の問題なんですけどね。極限状態でも上下関係が徹底されていた旧軍はおかしい。


いろは「という、後付けで決まることもあるそうですよ、どら君」

どら「んーむ、なるほど、僕は最初に決めるタイプなんですよ」

いろは「ふむ、そうゆう点では生姜君の作り方はあまりあてにならないんだね」

生姜「うんうんうん、最初からぶれないことに越したことはないけどね」

どら「でも、コンセプトを決めたはいいものの、それに沿って作るのができなくて」

生姜「あぁ~コンセプトとテーマのあれが」

いろは「そうだね、どら君の考えるコンセプトって?」

コンセプトを説明。

いろは「なるほど、それっぽく言うと『テーマ』は物語の中で掘り下げる題材であって、コンセプトは「ユーザーエクスペリエンス」、つまり消費した人がなんて声をあげてほしいかってことなのかな?」

生姜「ふむふむ」

どら「はいそうです!」

いろは「生姜君はテーマからなんだろうね、どのみち。テーマがコンセプトを作ってそのままゴールするみたいな」

生姜「そうですね、今言われたテーマがそうなのであれば、そうなりますね」

いろは「まぁうちの本って最初に『テーマ』が決まるんですよねぇ~。例えば『花』だったり『雪』だったり。今回だと『魔導書』っていうように絶対テーマが決まってるんだけど、例えば『雪』から『雪山遭難』とか括っていくより、どんなものを欲しているか、さっきコンセプトの話で『ユーザーにどんな声をあげてほしいかってのがコンセプトじゃないのか』って僕が言ったと思うんだけど、その『どんな声をあげてほしいか』から考えていきますね。つまりコンセプトになるってことです」

どら「あぁ~」

いろは「例えばヰノ上さんに『シュタインズ・ゲートみたいなシナリオ書いてくれ』って言われてできた『ワイズマンホール』※3だと、『あれシュタインズ・ゲートじゃん』って言われたらただのパクリになっちゃうんだけど、『みんながシュタインズ・ゲートをやって泣いた感情をどう提供できるかな』ってところから考えたんですよ」

どら「ふむふむ」

いろは「つまり泣いてほしい。『ループもので泣いてほしい』ってのが、僕のコンセプトでしたね。」

どら「あぁ~」(さっきから「あぁ~」しか言ってないな)


※3『ワイズマンホール』(収録:CoCシナリオブック『ワイズマンホール/開拓者たちのクトゥルフ』)
ワイズマンホール宣伝絵
「クトゥルフ神話TRPG×ループもの」というお題で、孤島の洋館を訪れた探索者たちが神話的な事件に巻き込まれるというシナリオ。
洋館で出会った車椅子の少女とともに、ループからの脱出を目的に探索を進めるという内容である。
……あ、あの、もういいでしょうか、自分。つらいっス。
この手のシナリオをネタバレにならない程度に説明するの、メッチャつらいっス(´・ω・`)(ひふみいろは)


いろは「で、そこから「テーマ」となるループものに関連するものを考えていく、さっき生姜君が言ったテーマの部分、具体的なテーマ「雪山遭難」に当たるテーマを考えていく感じ」

どら「あぁ~」

いろは「つまり、漠然としたテーマからコンセプトに移って、そのあと細かいテーマに移っていく作り方なんですよ。ここがおそらく生姜君と違うところ。生姜君は漠然としたテーマから具体的なテーマでその次にコンセプトって形なんですよ

生姜「うんうん」

いろは「ここまで話してどら君の言ってたのに返すとしたら『好きな物を意識する』ことが大事ってことだと思うんだよね。『どんな作品を作りたいかっていう意識』に関わると思うんだよね」

生姜「うん、やっぱコンセプトって自分の知ってるものからしか産まれないと思うんですよね。だから、まずは『引き出しを増やす』ところからってのもやっぱり大事ですねっていう」

いろは「消費だったり、体験するだったりっていう、引き出しの話かな。泣いたときの体験とか」

生姜「ただそれが、自分がやった作品で泣いた体験もそうだし、シュタインズ・ゲートしたことないけどシュタインズ・ゲート作ってやるってのもそうだし」

いろは「っていうのから、やっぱり『自分の体験してない事って手に入れられないっていう』だから『誰かの積み上げてきたもののさらに一段上に行く』ことしかできないんじゃないかなって気はする。ぼくは天才じゃないんでそう思ってます」

どら「ふむふむ」

いろはだからそこが決められないってのは、何が作りたいかってのが無いってことに繋がってくるんじゃないかな

どら「ってなると、何かを消費して吸収していかないとダメなんだなってのを感じましたね」

となんか自分のセリフで締めくくってみたり、、、恥ずかしい!

♯1のまとめ・感想

 まとめ:他のシナリオを読んだり、実際の事件を扱う時はそのままを利用しないようにするであったり、消費し吸収することが大事になったりすることがわかりましたね(個人差があります。)
 感想:今回の記事で取り扱った質問内容は「準備」「実際の事件を扱うか」「コンセプトの決め方」の3つでしたが、参考になったでしょうか、、、個人的にはかなり参考になったので皆様にも伝えたいな、、、という気持ちはあったのですが「文才」が旅に出てしまい、、、伝わらなかったら自分の力不足と思いながら書いてました。♯1ということで♯2,3と書く予定です。まだまだ濃い内容があるのでうまくまとめれるよう頑張りますので、またいつの日かお会いしましょう。まとめと感想でした。

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この記事を書いた人:九頭竜堂新人ライター『リクラァカ
ラァくん1
アイコン絵:フォロワーさん(くくいちさん)からの頂き物

  • 好きなもの:カルピス
  • 嫌いなもの:蚊
  • 作ったシナリオ:『クロイミライ』『ヒーローアーズ』
  • 最近遊んでいるゲーム:FGO、シャドバ
  • 好きなサーヴァント:アンデルセン、ケツァル・コアトル
  • 好きな漫画:『ボボボーボ・ボーボボ』『からくりサーカス』
  • 最近の楽しみ:スプラトゥーン2の発売
  • 座右の銘:「味方にすると頼りないが敵に回すと厄介」

 皆さんこんにちは。九頭竜堂もちゃんとC92当選したようで一安心なムオサム(@naoper1019)です。
 前回に続いて、今回も
 
資格複数持ち、専門職志望、学歴そこそこで、インターンシップにも積極的に参加していたにも関わらずいかにして就活に失敗したか
 ということをつらつらと書いていきます。

前回までのあらすじ

 専門知識だけは中途半端にある文系学生ムオサムは、就活を決意した。
 まず第一の行動として、希望業界のインターンシップにエントリーした彼だったが、面接を自己紹介雑談の場だと勘違い。
 圧倒的な自分語り雑学披露で場を凍りつかせ、面接を受けに行った全企業から不採用通知をもらう日々がスタートしたのである……
 更に、せっかく掴んだ志望企業の社長との飲み会すら自分語りで叩き潰す!
 その肝っ玉があればもっと別の仕事ができそうな気がするムオサムの明日はどっちだ!

第二話 ムオサム、悪循環に落ちる

選ばれし者たち


 就活でインターンシップを経験した方はご存知だと思いますが、大部分の企業でインターンシップを経験した学生には特別な選考フローが用意されます。 例えば、インターンシップ参加者は一次選考をスキップできたりするわけですね。
 私の志望企業の多くは、参加者に対し選考要素のない面談の機会が設けられていました。
 平たく言えば、面接の前に社員に好き勝手質問していいよ!というわけです。
 正しい就活生にとっては、福利厚生や給与など、中々訊きにくいことを訊けるビッグチャンスです。

面談、玉砕


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 私はといえばこんなクソでかい態度で、選考要素のない面談なんぞいらんから早く内定通知よこせ。みたいな感じでした。前回お話したように社長と飲み会を果たした逸材ですから、当然合格できると思っていたわけですね。

伝説達成

 面談から数日後、そんなイケイケな私に一通のメールが届きました。
(前略)
ムオサム様は面談の結果、当社の社風とそぐわないと判断したため採用をお見送りさせて頂きます。
今後のご活躍をお祈りしています。
(後略)
  はい。選考要素がないと事前通知された面談で見事にお祈りを食らうという伝説を達成してしまったわけですね。

実績解除

流石にやばいのでは?

 ここまでされてしまうと、流石に能天気ではいられなくなりました。
 さて、何をするべきか。面接の練習? 就活マナーの勉強? やれることはたくさんありますね。
 窮地に陥ったムオサムが選んだ対策! それはっ!

 …………

 ……

 …

 専門知識と技術の更なる進化でした。

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 はい。バカです。バカ極まりないです。
 というのも私は当時、面接に落ちる理由は
専門知識が技術職として必要レベルに達していないから
 だと思っていました。
 そんなんだったらそもそもインターンシップで結果を残せてないという当たり前のことは理解していませんでした。

ムオサム、無限地獄へ

 ここから先は転機が訪れるまで同じ失敗を繰り返しただけですので、ロッキーのテーマでも流しながら以下のツイートをご覧ください。

転機到来

 こんな感じで見事に2月上旬までを無駄にしてしまったムオサムに、転機が訪れます。
 その転機とは、いつも通り九頭竜堂メンバーで雑談をしていたときのことでした。
ムオサム「内定とれなくてしんどいっすわ……」
ひふみいろは「え、まだ就活してたの?」
ムオサム「してますよ(半キレ)なんでこんな専門知識貯めてんのに落ちるんですかね」
ひふみいろは「就活ってユーモアだからさぁ、もう特技訊かれたら『アルファベットが読めます』って答えるくらいでいいんじゃないの? バレンタイン近いからチョコでも持ってさ」
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 はい。当時の私の心境はこうでした。
 私は技術職に応募してるんであって営業職じゃないんだぞ? バカにしてんのかこのオッサンは。

と、言いつつも


 もはやすがれるものにはなんでもすがってみたかったので、言いつけどおりチョコレートを片手に面接を受けに行ってみました。

すると

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 場は凍りつき、その場で帰れと言われるはずでした。
 しかし、反応は真逆
 これまで場を和ませようとハワイ語と日本語の言語接触について語ったり、居飛車穴熊後略のために最近やっていることを話した時のような冷たい空気から一変、チョコを渡した途端どわっと面接官が明るくなりました。そして、なんとその場

「是非役員面接へ進んで欲しい」

 と言われました。なんと、チョコレートとアルファベット戦法で初の面接突破を果たしたわけです。

 ひ……

 ひっ……




  ひふみ様!!!

 おひふみのおいろは様!!!!!!!

 この瞬間、私はこれまでおひふみのおいろは様にしてきた全てのことを懺悔しましたね。
 そもそも一回りも年が違わないのにおじさん呼ばわりしたり、童貞拗らせすぎてるとかテキトーなことを言うべきではありませんでした。おひふみのおいろは様は私を内定へ導いてくださる偉大なお方だったのです。

ところがどっこい

 ここで素直に内定獲得、ハッピーエンドといかないのが私の素晴らしいところであり、結局おじさんは内定救世主ではなく、ゲーム作りに情熱的な童貞拗らせすぎてるおっさんだったわけです。
 この後、手に掴んだかに見えた内定をいかにしてのがしたか、その後どうやって二度目のカムバックを果たしたかについて書いていきたいと思います。

 次回、「第三話 ムオサム、心が砕け散る」
 ご期待下さい!

 皆さんこんにちは。つい先日無事内定を頂いたムオサム(@naoper1019)です。
 6月に入り、学部三年生の方はインターンシップへのエントリーが始まったり、四年生の方は就活がクライマックスだったり大変な思いをしてらっしゃると思います。
 特に学部四年生でまだ内定がない方は、このブログ記事の一行目を見て……

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 みたいになってしまっていると思います。
 大丈夫です。他のブログみたいに『私が内定をもらえたのはこうしたから❤』みたいな記事を書くつもりはありません。
 私はこの記事で……

資格複数持ち、専門職志望、学歴そこそこで、インターンシップにも積極的に参加していたにも関わらずいかにして就活に失敗したか

 ということをつらつらと書いていきます。

第一話 ムオサム、就活をみくびる


それはちょうど一年前の出来事だった……

 上記のツイートをした日が、私が就活を始めた日です。ざっと一年前ですね。
 就活をしたことがある方ならお分かりかと思いますが、学部三年生の5月中から本気で動き始めるのはかなり早く、我ながら意識の高い就活生だったと思います。
 私の志望業界、業種は専門性の高いもので、技術や資格さえ持っていればまず入れるタイプでした。
 私は前述の通り複数の資格持ちで、学歴もそこそこだったので、『まぁ余裕で受かるだろう』と余裕しゃくしゃくでエントリーシートや履歴書を書き進めていました。

崩壊の予兆

 自信満々で挑んだ通り、私はインターンシップの書類選考や実技試験等でつまずくことなく、全て通過することができました。
 これが終わりの始まりだったのです……
 私は一次選考をなんの苦労もなく超えてしまったせいで、「あぁ、就活って余裕じゃん」という最も危険な偏見を持ってしまいました。
 続々と通過した企業からインターンシップの詳細が送られてくる中、一部の企業から
『通過者多すぎたから二次選考の面接やるよ』
 という連絡が来ました。

初めての面接

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 私は完ッ全に就活をナメくさってしまったので、こんな感じのセリフを友人に吐きながら面接会場に向かっていきました。
 面接では細かく何を話したかは覚えていませんが、面接官が訊いてもいない自分の研究内容の話を四十分くらいした気がします。

受かるわけねぇ!

 まぁ、落ちますよね。
 受かる要素がないですもんそんな話しておいて。
 ただ、当時の私は落選通知をもらっても、

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 とはならず、むしろ面接官のことを
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私の価値を理解できなかった馬鹿面接官 だと判断していました。
 参考までに言っておきますと、この時面接した複数の企業は全部私を落選させました。
 ちなみにその後、別の面接官に訊かれてもいないシシリアン・ディフェンスの素晴らしさやジェンダー論と一人称のこじれた関係性等を話したような気がします。
 言うまでもないですが、馬鹿は私です。

就職先決定!?

 後に、私に面接を行わず、書類だけで私のことを判断してしまった多くの迂闊な企業のインターンシップが始まりました。
 いざ研修を行ってみると、技術だけは自信がある典型的な社会性が死んだオタクなので、他の参加者に比べてかなりいい結果を残すことができていました。
 しかも、参加した企業の社長から個人的に飲みに誘われるという偉業を成し遂げます。
 もうアレです。

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 って感じでした。
 完全に『この企業からの内定は取ったな』という気分で、飲み会の最中社長が訊いてもいない自分のフィールドワーク先の話を一時間くらいした気がします。

パターンが見えてきましたね?

 はい。私の就活失敗の本質はここにあります。
 ですが、今後この症状が更に悪化し、書類選考、適性検査、実技試験無敗にも関わらず面接を受けた41社から不採用通知をいただくというビクトリー伝説を打ち立てることになります。

 次回、「第二話 ムオサム、悪循環に落ちる」
 ご期待下さい!

 シナリオを書かせていただいている生姜維新です。好きなクトゥルフ神話TRPGのサプリメントは『比叡山炎上』です。
 サークル内でブログを書くのが流行っているので、私もTRPGについて少し書いてみようと思います。
 今回扱うのは、『クトゥルフ神話TRPG』(以下『CoC』)の、過去の時代を扱った「歴史モノ」のシナリオについてです。『CoC』が現代日本シナリオを中心に流行して久しいですが、「歴史モノだって面白い!」という事が伝われば幸いです。
 遊ぶ前の心構えについては、なんとかかんとか氏がいい事を書いていらっしゃったので、まずこちらをご覧いただいてから読み進めてくださればと思います。

既存の歴史を扱ったサプリメント

 皆さんご存知のように、既にクトゥルフ神話TRPGにはサプリメントとして過去の時代を扱ったものが多数存在します。
 中世ヨーロッパを扱った『ダークエイジ』、戦国日本を扱った『比叡山炎上』、ヴィクトリア朝の『ガスライト』、大正日本の『帝国』、『フラグメント』掲載の幕末や古代ギリシャ、その他古代ローマや世界大戦を扱った未訳サプリ群……
 そもそも基本ルールブックで1890年代や1920年代を遊べる時点で、最初から歴史を扱っているとも言えます。
 
 このように既に様々な時代が扱われているわけですが、「歴史」はコンテンツが無尽蔵に眠る金山であり、まだまだ未開拓の領域が残されています。歴史上のあらゆる現象をクトゥルフ神話的世界観で解釈し、『CoC』の舞台として遊べる事ができれば……
 そう思ったので、『CoC』と歴史モノの関係について分析し、「歴史上の舞台を『CoC』で扱うための文法」を考えてみます。これを読めば誰でもあらゆる時代をクトゥルフ神話の世界にできる!かも!
 

『CoC』と歴史モノの親和性

 上で挙げたように様々な時代を扱ったサプリメントが既にあるわけですが、これ自体も稀有な現象だと思っています。何がこのような事を可能にしているのでしょうか。

伝奇ロマンというジャンル
~クトゥルフの触手で歴史への固定観念を破壊せよ~

 「あの歴史上の事件の裏には実はこんな真実が」「この歴史をそう解釈するのか」「歴史上の有名人がなんか超常の力を使って人外と戦ってる」といった驚きを与えてくれる作品のジャンルを「伝奇ロマン」と言うそうです(出典ウィキペディア)
 伝奇ロマンの面白さは「歴史に対する固定観念をSF・ファンタジー的な要素で破壊されるカタルシス」が大きいと思いますが、クトゥルフ神話という概念はフィクションの中でもかなり異質で強力な概念であり、固定観念を粉々に破壊してくる……この要素が洋の東西問わずクトゥルフで歴史モノが扱われている大きな理由の一つだと勝手に思っています。

 ちなみにクトゥルフ神話がいい感じで化学反応を起こしている伝奇ロマン(?)としては『伴天連XX』辺りが思いつきます。江戸時代を舞台にしたクトゥルフ神話×異能バトルというジャンルで『CoC』とはちょっと雰囲気が違いますが、「クトゥルフ神話で固定観念を破壊する」という点は共通していると思います。
 http://iharadaisuke.hatenablog.com/entry/2014/03/28/121545 
 クトゥルフ神話のパワーワードと時代劇風の絵柄の圧

 しかし、これは逆に言えば「壊されるべき固定観念」が無ければカタルシスは半減してしまうという事です。だから、既存のサプリメントではメジャーどころの時代・舞台だけが扱われているわけですね。
 「織田信長は狂信者!安土城は実は邪神を召喚するための祭壇!」「内ヶ島氏理は狂信者!帰雲城は邪神によって滅ぼされた!」では、前提知識が無くて面白さが通じない恐れが段違いです(実際、後者のシナリオを昔作って数回やりましたが、ネタが分かっていたプレイヤーは0名でした)

ゲームシステム ~色んな角度から歴史を体験する~

 様々な時代を大きな改変なしで処理できてしまう『CoC』のゲームシステムにはどのような特徴があるのでしょうか。

▼探索者という存在 ~歴史上のキャラクターをデータで表現する~
 私の好きなテーマの1つですが、探索者とは一体どのような存在なのでしょうか。色んな考え方があると思いますが、私が今回強調したいのは

・誰でも成り得る存在である
・ルールによって能力値・技能・職業等によって詳細な設定が可能
・超常の力を持たない
・宇宙的恐怖と対面するなどして正気を失っていく

という点です。

 「誰でも成り得る存在である」という事が特に重要で、例えば冒険者をやるゲームであればPCは基本的に「一定の戦闘能力を有し冒険者を自称して活動するキャラクター」でなければならないのですが、探索者は「事件の場にたまたま居合わせて巻き込まれた一般人」等が許容されるのです。むしろ一般人であった方が「日常=正気と非日常=狂気のギャップによる正気度喪失」が表現しやすいので美味しいです。
 これにより、歴史上の様々な層の人間を主役として演じる事が可能なのが『CoC』です。武人などに限りません。

 そして、その様々な層のキャラクターを詳細に決定できるルールもキャラクター表現の幅を広げてくれます。クトゥルフのステータスは「何が得意」に留まらず、「この技能/能力値は他のものに比べてどれくらい高い/低い」という相対的な評価が可能なので、過去の時代の人々がどんな生活をしていたのか想像しながら細かくキャラクターを考える事ができます。
 
 探索者の能力値は時代に関係なく3~18程度の幅を取り、思考系など一部の専門的な技能やターム以外をほとんど変更する必要が無いという点でも優れています。人類のスペック自体はあんまり進化していないぞ!

 人類が進化していないおかげで、健全な人類の探索者は超常の力を持っていたりしません。これによって、危険に満ちていた過去の時代の人物を演じるにあたっての心構えとしてもメタ的なプレイ感覚としても「身を守る術をほとんど持たないただの人間が、自然・超自然の危険が存在しうる世界を探索している」という不安感を体験できます。
 むしろ、過去の時代を舞台にする事で、「現代人のような知識や技術を持っていない状態で邪神勢力と対峙しなければならない」という状況が生じるのがホラー的に美味しい所です。
 ※現代人と根本的に違う生物である『比叡山炎上』の探索者を除く。

 異能を使う歴史モノはそれはそれで楽しいのですけどね。『天下繚乱』とか。
 
 「正気度喪失」も重要な要素です。探索者は戦闘で敵を倒す存在ではなく、探索によって得た魔術で敵を封じる存在でもなく、「宇宙的恐怖を目の当たりにして正気を失いつつも、それに対峙・対処する存在(結果として物理的に倒したり封印したりはする)(成功・生還できるとは言ってない)」だと私は思うのですが、これが歴史モノのシナリオに「チャンバラに頼りきらない」「戦闘力だけが評価されない」多様性をもたらすと確信しています。
 

 以上のメリットは、プレイヤーが舞台や探索者をうまく想像し、演じられる事を前提としています。歴史モノを遊ぶためには、何も言わなくても大体想像できてしまう現代日本以上に、時代背景や舞台や生活などについて、探索者創造の段階から配慮が必要でしょう。
 ここで言う時代背景・舞台・生活などについては、「KPの考える、シナリオにとって都合の良い解釈」である事が第一で、歴史的な正しさの優先順位はその一つ下でいいでしょう。もちろん、何かしらの資料をもって解釈に最低限説得力を持たせた方が良いのは確かです。

▼シナリオ傾向 ~シティシナリオで歴史を体験~
 『CoC』は色んな遊び方をされていますし、そこに正解なんて無いのですが、あえて『CoC』のシナリオ傾向の話をします。

 まず前提として、『CoC』の探索者の技能は大半が戦闘以外の探索に用いる技能です。戦闘に重きを置く作品の特技の割合が戦闘9に対して探索1くらいである事を考えれば、『CoC』がゲームデザインとして探索に重きを置いていると言えるでしょう。
 
 歴史モノの魅力をより深く味わうためには、探索者にその時代に暮らす人々と交流させたり、その時代に特徴的な施設・サービス・物品を利用させ、舞台との一体感を出す必要があります。そのために最も役立つのがシティシナリオにおける「(足を使った)情報収集」です。他にも「物品の調達」「NPCの説得」等々。
 プレイヤーはシナリオクリアという目的に向かって情報収集するモチベーションが発生するので、能動的にシナリオの舞台に絡んでいくわけです。
 ここまでは「他のシステムでもそうだろ!」という話なのですが、『CoC』の特徴たる「情報収集に使用できる技能の多様さ」がここで活きてきて、色んな方法で絡んでいけるわけです。酒場の人間から情報を引き出すだけでも、〈説得〉してもいい、〈言いくるめ〉てもいい、〈信用〉を武器にしてもいい、APPや所持金を使ってもいい、探索者によって色んな方法があるわけです。その血の通った、作業的画一的ではない判定がシナリオ・歴史をより楽しませてくれるのです。
 
 そして、「戦闘に頼らない、戦闘したら負け」という概念も『CoC』の中では根強いのですが、これは今回半分ほど適切ではありません。
 確かに正気度というリソースの減少によってセッションを盛り上げる事ができる『CoC』では必ずしも戦闘は必須では無いですし、戦闘したらHP10程度の所にd6やd10のダメージが飛んでくるのでまぁ死ねます。
 時代劇=チャンバラという固定観念に縛られないのは歴史モノにクトゥルフを用いるにあたって重要な要素だとは思います。
 
 しかし、あえて現代日本と違う戦闘が身近な時代を選択している以上、戦闘が楽しめなければ差別化が弱いと思います。歴史モノやる人のモチベーションの大部分が「武器を大っぴらに使えるぞ」とかだったりするので……(『比叡山炎上』を見ながら)
 なので、戦闘パートは少なくとも一回は用意してあげたいところです。もちろん大物の神話生物に剣や銃で立ち向かったら死にますけど(『比叡山炎上』を除く)
 戦闘という10秒程度毎のミクロな動作を扱うのは歴史体験としてもキャラクターのロールプレイとしても非常に重要なのは言うまでもありません。

 要するに「シティ要素も戦闘も全部揃ったシナリオをやれば歴史を深く体験できて楽しい」という当たり前で難しい話になるんですが、まぁ、そこは、シナリオ作る側が自分の好きな時代についてあれこれ考えながら準備する過程を楽しみましょうという事で。

既存サプリメントの工夫 ~三者三様~

 基本ルールがほとんど流用されてると言いましたが、それだけでは不可能ではないにせよやっぱり各時代を楽しむには不足です。扱っている時代、テーマによってルールを適宜変更しなければならない、と私は思うので、まずは既存サプリメントの行っている工夫について手持ちの『ダークエイジ』『比叡山炎上』『ガスライト』について簡単に分析してみます。
 これらの共通点・相違点から文法を発見できれば、各時代のシナリオ一本に対応したルール程度なら誰でも作れるようになれると思います。

▼ダークエイジ
 中世初期のヨーロッパを舞台にした『ダークエイジ』はその名の通り、イントロダクションの「恐怖によるゲーム進行」に書かれているようなゲームデザイナーの志向と10世紀頃という時代もあって、探索者の無力感が強調されています。それが、タイトル通り暗闇の中を手探りで進むような恐怖感を味わわせてくれます。

・技能
 技能は〈三科〉〈四科〉〈神学〉あたりが珍しいですが、現代日本人が遊ぶにはちょっと分かりにくいかもしれません。筆記が技能になっている、低い他国知識/高い母国知識で地域共同体に縛られた生活を表現している辺りは時代をよく反映している気がします。
 一部職業は技能ポイントを使用して呪文を取れるので、戦闘に偏って組めば無力感なんてどこ吹く風の悪い事も色々できます。《肉体の保護》を最初から取れてしまうのはバランスが崩壊するからやめてほしい。

・戦闘
 戦闘を前提としているため専用のルールが一応ありますが、少々ややこしい。
 攻城兵器のデータなども載っています。あと、戦闘ではありませんが当時の病気についても詳しく、参考になります。
 なぜかダークエイジの探索者は特定条件を満たす事で〈蹴り〉を1ラウンドに2回行えるのですが、これは中世の何を反映しているのか不明。〈マーシャルアーツ〉不在のバランス調整か?

・世界観解説
 修道士・農民・領主の生活・服装・食事について書かれているのは良い。しかし扱う世界が広いため個別地域については薄め。スラブ圏やアラブ圏まで載っています。キリスト教徒ではない日本人としては、当時の宗教観や宗教活動がもうちょっと知りたかった。

・サンプルシナリオ
 修道士と共にマジャール人を改宗させるための旅をしていた探索者たちが、立ち寄ったゲルマン人入植地で色々するシナリオ「墓所」が掲載されています。舞台に関する設定・解説・描写が極めて詳細で、全部で45ページもあります。
 ヨーロッパがまだ森に覆われていた時代の、「入植地」「マジャール人」「異教」「森」といった未開の土地の要素が詳細な描写によって活きていて、『ダークエイジ』の著者が想定する遊び方が窺えます。


▼比叡山炎上
 純和製サプリメント。データ・ルール面の工夫が多く、術や〈修羅〉による派手な戦闘が目玉。採用すると神話生物すら刀の錆になります。よくイロモノ扱いされるが、イロモノとしてはとても面白いので一読・購入の価値はあります。ちなみに私が初めて買って回したルルブはこれだぞ!

・探索者の創造
 そもそも能力値のダイスが4d振って3dチョイスの時点で「今回は超人をやります」とシステムが言っているのが伝わってきます。
 末尾にサンプルキャラクターも載っていますが、最大能力値18がデフォの修羅揃いです。
 職業にはそれぞれ初期の所持品が設定されているのですが、これは当時の人間の持ち物を考える大変さが軽減されるので結構な発明だと思います。「持ち物:足軽」は処理に困るけど。
 
・術
 技能ポイントと引き換えに取れて、MPや正気度を代償にして使います。剣術等の他に忍術や仏教・基督教・神道、そして自分が異形になる、など様々。強すぎるのはともかく、「具体的にどうなるのか不明」「武器毎の格差が激しい」という問題はある。処理はKPのアドリブ力が試されます。

・技能
 〈クトゥルフ神話〉が〈黒智〉となっており、南蛮っぽさが消えています。
 〈黒智〉と同じく最大正気度を蝕む〈修羅〉が追加されており、「即死による行動不能のリスク軽減」、「当時の戦士の人外感の表現」といった効果を発揮しています。
 技能初期値の計算なども細かく手が加わっていて、APPがそれなりに役立ちます。
 〈回避〉が技能ではなく副能力値になっているのも面白い点です。
 
・戦闘ルール
 色々変更があるほか、一応集団戦ルールなるものも存在します。馬に乗った際の補正も載っています。
 回避副能力値化前提回避回数無制限化(長い)は良いと思うが、受け流しも無限な所にちょっと穴がある気がしなくもない。

・世界観解説
 戦国時代のマクロな解説(主に信長)に偏っており、サンプルシナリオもそういう話なので、タイトル通り信長絡みのシナリオを遊んでもらう事を想定している気がします。
 クトゥルフ神話の神格・クリーチャーの項目で、彼らが戦国日本でどう呼ばれ、扱われているかが解説されているのが面白く、歴史とクトゥルフを絡める時の発想の参考になります。例えばクトゥルフは「九頭竜明神」と呼ばれ、八岐大蛇や竜宮伝説と繋げて解釈されている、など。
 
・サンプルシナリオ
 信長の配下として色々調査したりするキャンペーンシナリオが載っています。歴史上の有名人や神話生物が怒涛のように現れる色んな意味ですごいシナリオ。
 『比叡山炎上』の想定する遊び方が窺えます。
▼ガスライト
 『ガスライト』はロンドンという一都市を主に扱っているのが大きな特徴です。そのため、時代背景の解説が非常に詳細で、「フィクションのNPC」まで詳しく紹介されています。
 シナリオと時代背景にほとんどページが割かれていますが、ゲーム的にもランダム表の利用を重視しているのが面白い点です。

・探索者
 時代を反映した社会階級というステータスがあり、交渉や収入に関わってきます。
 探索者の能力や設定に大きく関わる特徴表というルールがあり、他の時代でも利用できて面白い。
 能力値ロールの結果を後から好きな能力値に割り振るのが前提であったり、特徴があったり、職業技能が雑に強かったりする(ディレッタントお前だ)ので、探索者は強め。

・その他ルール
 時代が基本ルールブックと重なるため、変更はほぼ無い。

・サンプルシナリオ
 三本のシナリオが掲載されているが、全て「何らかの事件を調査するように依頼される」という導入で始まり、うち一本はシャーロック・ホームズからの依頼というホットスタートです。『ガスライト』が想定している遊び方が窺えます。


まとめ

 以上です。マスタリング時に注意すべき点は今回書いていませんが、それでも『CoC』で歴史モノを遊ぶうえでどのような点に気を付けるべきか見えてきたと思います。
 次回は実際に既存のサプリメントで扱われていない過去の時代「大航海時代」を扱ったシナリオと専用の簡単なルールを作って、作る過程と遊んでみた結果を報告したいと思います。


筆者:生姜維新/生姜シュライン
九頭竜堂のシナリオライター。月ノ書から参加。
「かぐや姫の憂鬱」「ユキユキテ」「灰色の少女たち ~Fleurs Grises~」「ダイス&ドリームス」
経験してきたセッション、持ってるルルブ、そしてTRPGの表現力を信じて、TRPGであんまり無さそうな題材に挑戦し続けたいと思います。
TwitterたまにTRPGの話をする方→ https://twitter.com/pueraria_ginger
     アイカツと百合とソシャゲの話をする方→ https://twitter.com/gin_res


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